アプリ内課金システムのお話し②法律上の取り扱いと単価について
はじめに
前回、ソーシャルゲームにおいて課金で購入するアイテムは「課金石」であり、さらにその課金石は、「無償課金石」と「有償課金石」に分けられることをお話ししました。
今回は、有償課金石の日本の法律上の扱いについてと、単価についてのお話をしたいと思います。
課金石の法律上の取り扱い
日本の法律では、有償課金石は資金決済法上の「前払式支払手段」とみなされます。
前払式支払手段とは、「プリペイド」のことで、わかりやすい例としては、交通系ICカードへのチャージがあります。
つまり、課金石の購入は、ゲームサーバーへのチャージということになります。
チャージされたお金は、運営側から見ると「預り金」となりますので、ユーザーが使いきらなかった預り金に対しては、返金の義務が生じます。
未使用分の返金は、サービス終了時に行うものですが、これを確実なものとするために「供託制度」が定められています。
年2回、未使用残高を集計し、残高が1000万円を超える場合は、残高の半分の金額を供託することが法律により義務付けられています。
そのため、有償課金石と無償課金石を明確に区別するのは当然として、有償課金石の残高集計機能や、ユーザークレーム対応・返金対応のための履歴管理を、しっかりとシステムに組み込むことが重要となります。
そのほか、供託金が無制限に膨張するのを防ぐために、ユーザごとに有償課金石の所持上限を持たせたり、子供の過剰な課金を防ぐために、年齢により月ごとの購入上限を設けるといった対応をとることも多くあります。
単価とセール
例えば、有償課金石100個を1000円で販売したとします。
この時、有償課金石1個当たりの価格(単価)は、10円となります。
では、有償課金石1000個の価格はいくらになるでしょうか?
単純計算ならば、当然10000円となりますが、これではユーザーにとってはまとめて購入するメリットがありませんので、割引きして9000円と設定したとします。
すると、有償課金石の単価は 9円となることになります。
このような販売を行ったソーシャルゲームが、サービス終了時に返金すべき料金はいくらになるでしょうか?
一般には、ユーザーに不利益を与えないことが大前提となりますので、大きい方の単価10円を基準に返金することになります。
つまり、割引価格で購入したユーザーには、支払った料金よりも大きな金額を返金することになる可能性があります。
したがって、大幅な値引きは、のちのち過剰な返金につながるリスクがあるため、原則できないということになります。
前述のとおり、有償課金石は、売り切りのアイテムとは異なり、返金や供託金の問題があるため、単価を大きく変動させることができません。
しかし、マーケティング上の理由からセールなどはどうしても必要になってきます。
そこで行われるのが、「おまけ付き」販売です。
上記の例では、9000円で課金石1000個を販売するのですが、1000個の内訳を、有償課金石900個+無償課金石100個とすることで、単価10円を維持しつつ、無償課金石をおまけとして付加することで、お得感を演出します。
おまけは、必ずしも無償課金石である必要は無く、特別なアイテムだったり、ガチャチケットの様なものを付加することも多くあります。
このおまけをシステム上で柔軟に設定できるかが、売り上げに大きくかかわってくることがあります。
ただし、おまけで付けたアイテムが、課金時でしか手に入らず、さらに別のアイテムに交換可能な性質を持っていたりすると、おまけ自身も「前払式支払手段」とみなされてしまう場合があるので、注意が必要です。
アプリ内課金に必要なシステム開発は弊社へ
課金石は、他のゲーム内アイテムとは異なり、預り金としての性質を持つため、適切な管理と集計機能が大変重要になります。
当社では従前培ってきたネイティブアプリ開発・オンラインゲームサーバ開発・Webサービス開発・クラウド構築運用技術・UI/UXデザインの全てを活用し、システム開発をご提案いたします。