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HLS(HTTP Live Streaming)について
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HLS(HTTP Live Streaming)について

HLS(HTTP Live Streaming)とは?

HLS(HTTP Live Streaming)は、動画をウェブ上でストリーミング配信するためのプロトコルです。
その歴史や基本的な仕組み、使用事例、メリット、デメリット、実装方法について説明します。

歴史

HLS(HTTP Live Streaming)は2009年にAppleによって導入されました。
当初はiOSデバイスでの動画配信を目的としていましたが、その後、その利便性と汎用性から、幅広いデバイスやプラットフォームで採用されるようになりました。

基本的な仕組み

HLS(HTTP Live Streaming)の基本的な仕組みは、動画を小さな部分(セグメント)に分けて、これらを順番にインターネットを通じて送る方法です。
動画はいくつかの異なる画質(ビットレート)で用意され、見ている人のインターネットの速さに合わせて、最も適した画質の動画が自動で選ばれます。これらの小さな動画の部分(セグメント)と、どの部分をいつ再生するかを示す指示書(マニフェストファイル、通常は.m3u8という拡張子)があり、動画を見るデバイスやアプリはこの指示書に従って動画を再生します。
この方法により、インターネットの速度が変わっても、動画が途切れることなくスムーズに見られるようになっています。

HLSのファイル構成

使用事例

HLSは、その柔軟性と広範なデバイスサポートにより、多岐にわたるストリーミングシナリオで採用されています。
特に、オンデマンド動画サービスやライブイベントのストリーミング配信において、その真価を発揮します。

1.オンデマンド動画サービス

オンデマンド動画サービスとは、NetflixやAmazon Prime Video、YouTubeのように、インターネットを通じて映画やテレビ番組、さまざまな動画をいつでも見ることができるサービスのことです。これらのサービスはHLSという技術を使って動画を配信しています。
HLSの特徴は、見ている人のインターネットの速さに合わせて自動で動画の画質を調整することができる点です。
これにより、インターネットが遅い時でも、動画が途中で止まることなくスムーズに見ることができます。つまり、HLSを使うことで、どんなインターネット環境でも快適に動画を楽しむことが可能になるのです。

2.ライブストリーミングサービス

ライブストリーミングサービスとは、スポーツの試合やコンサート、会議などのイベントを、インターネットを通じてリアルタイムで世界中の人々に配信することです。
HLSは、このようなライブイベントを配信する際によく使われる技術です。例えば、オリンピックやワールドカップのような大きなスポーツイベントや、有名な音楽フェスティバル、アーティストのライブコンサートなどが、HLSを利用して世界中のファンにリアルタイムで届けられます。

HLSの特徴は、異なるインターネットの速度やデバイスに合わせて、自動的に最適な画質で動画を配信できることです。これにより、どんな環境の視聴者も、途切れることなくスムーズにイベントを楽しむことができます。また、HLSは多くのデバイスやブラウザでサポートされているため、幅広い視聴者にアクセスすることが可能です。
このように、HLSはライブイベントの配信において、高品質な視聴体験を提供する重要な技術となっています。

他のストリーミング方式との比較

特徴 HLS Dash (MPEG-DASH) RTMP
プロトコル HTTPベース HTTPベース RTMPプロトコル
互換性 iOS, Android, Webなど幅広い 幅広いデバイスとブラウザのサポート Flashプレイヤーが必要なため、
互換性が低下
適応型ビットレート サポート サポート サポートしない
ライブストリーミング サポート サポート サポート
オンデマンド サポート サポート サポート
遅延 通常は数秒の遅延 HLSと同様または改善可能 低遅延
セキュリティ AES暗号化サポート 様々なDRMサポート 基本的な認証
ブラウザサポート 広範 広範 限定的
(Flashのサポート終了により)
開発の容易さ
(シンプルなセットアップ)
中〜高
(より柔軟性があるが複雑)

(Flash依存のため
現在は推奨されない)

HLSのメリット

●クロスプラットフォーム対応

HLSは、さまざまな種類の電子機器やインターネットブラウザで動画を見ることができるようにする技術です。
特に、iPhoneやiPadなどのApple製品では最初からこの技術を使えるようになっています。また、Androidのスマートフォンやパソコンで使われているブラウザでも、HTML5という技術を使っていれば、HLSで動画を見ることができます。
このように、HLSは多くの機器で使えるため、動画を作る人はいろいろな種類の機器やブラウザに合わせて、別々の動画を用意する必要がありません。
一つの形式で動画を作れば、たくさんの人に見てもらうことができます。

●適応型ビットレート

適応型ビットレートとは、HLSの重要な機能の一つで、これにより動画の品質が自動で調整されます。
ユーザーがインターネットを使って動画を見る時、その人のインターネットの速さや使っているデバイス(スマホやパソコンなど)に合わせて、動画の画質が変わります。例えば、インターネットの速度が遅い時は、動画の画質を少し落としてスムーズに見られるようにします。そして、インターネットの速度が速くなったら、自動的に画質を良くしてくれます。
このおかげで、動画が途中で止まったり、長い時間待たされたりすることなく、常に最適な画質で動画を楽しむことができます。

適応型ビットレートストリーミングのファイル構成

●ライブストリーミングとオンデマンドストリーミング

HLSは、ライブイベントの配信と、録画された動画のオンデマンド配信の両方に使える技術です。
これは、コンサートやスポーツイベントのようなリアルタイムのイベントをインターネットを通じて生中継する場合、または映画やテレビ番組のように前もって録画された動画をいつでも好きな時に見たい人のために使われます。HLSを使えば、イベントをリアルタイムで配信しながら同時に録画し、後でオンデマンドで視聴できるようにすることも可能です。これにより、さまざまなニーズに応える柔軟な動画配信が実現できます。

●セキュリティ

HLSストリームは、特別な暗号化技術(AES暗号化)を使って、動画の安全を守ることができます。
これは、動画が不正にコピーされるのを防ぎながら、見ることが許可されている人だけが動画を見られるようにする方法です。さらに、トークン(一時的な許可証みたいなもの)に基づく認証や、インターネット上で情報を安全に送るための技術(SSL/TLS)と組み合わせることで、動画の安全性をより強化することができます。
これにより、動画を提供する側は自分たちの動画を安心して人々に届けることができ、見る側も安全に動画を楽しむことができます。

HLSのデメリット

●遅延

HLSは、動画を小さなパーツ(セグメント)に分けてインターネット上で送る方法です。
この方法では、見ている人のインターネットの速さに合わせて、最適な画質のパーツを自動で選ぶことができます。これにより、どんな速さのインターネットでも、動画をスムーズに見ることが可能になります。
しかし、この小さなパーツを一つずつ送る方法は、ライブで何かを見ている時に、実際の出来事と画面上で見る出来事の間に少し時間差ができてしまうことがあります。
この時間差は、数秒から数十秒ほどになることがあり、特にライブでの会話やイベントを見ている時には、この遅れが気になることがあります。

●セグメント化によるコスト

HLSでのストリーミング配信を行うためには、動画を小さな部分(セグメント)に分けて、それぞれをインターネットで送れるようにする必要があります。
この作業には、動画をいくつかの品質レベルに合わせて調整することも含まれます。このプロセスは、動画を準備するために追加の時間とお金がかかります。たくさんの動画を扱う場合や、さまざまな品質で高品質の動画を提供したい場合、この作業にかかる費用は大きな問題になります。さらに、これらの小さな動画部分をうまく管理して、人々が見ることができるようにするためのシステム(インフラストラクチャー)にも、追加でお金が必要になることがあります。
つまり、HLSを使って動画をより柔軟に、より良い体験で提供するためには、準備と管理のためにより多くのコストがかかるということです。

実装方法

1. 動画のエンコード

●目的:元の動画ファイルを、HLSでストリーミング配信するための適切な形式に変換します。
●手順:

  • 1.FFmpegなどのエンコーディングツールを準備します。
  • 2.動画をH.264(ビデオ)とAAC(オーディオ)のコーデックを使用してエンコードします。H.265はより効率的な圧縮を提供しますが、互換性の問題が生じる可能性があるため、配信対象のデバイスを考慮して選択します。
  • 3.エンコードの際には、複数のビットレートと解像度でエンコードすることを推奨します。これにより、適応型ビットレートストリーミングが可能になります。

2. チャンク化とプレイリスト生成

●目的:エンコードされた動画を小さなセグメント(チャンク)に分割し、それらを再生するためのプレイリストを生成します。
●手順:

  • 1.FFmpegを使用して、エンコードされた動画を数秒間隔のチャンクに分割します。一般的には、2〜10秒の長さが推奨されます。FFmpegなどのエンコーディングツールを準備します。
  • 2.各ビットレートと解像度に対して、独立したプレイリスト(.m3u8ファイル)を生成します。これにより、クライアントはネットワーク条件に基づいて最適なストリームを選択できます。
  • 3.マスタープレイリストを作成し、利用可能なすべてのビットレートのバリアントをリストアップします。

3. セグメントのアップロード

●目的:生成されたチャンクとプレイリストをウェブサーバーやクラウドストレージにアップロードし、アクセス可能にします。
●手順:

  • 1.セグメント(チャンク)とプレイリスト(.m3u8ファイル)をウェブサーバーまたはクラウドストレージにアップロードします。
  • 2.アップロード後、ファイルのURLを確認し、外部からアクセス可能であることを確認します。

4. クライアントへの配信

●目的:クライアント(ウェブブラウザやメディアプレイヤー)が動画を再生できるように、プレイリストのURLを提供します。
●手順:

  • 1.ウェブページやアプリケーションに、HTML5の<video>タグを使用してプレイリスト(マスタープレイリストの.m3u8ファイル)のURLを埋め込みます。
  • 2.クライアントはこのプレイリストを読み込み、含まれるセグメントのURLを使用して動画をダウンロードし、再生します。

以上が、HLSでチャンクを作るまでの基本的な手順です。動画のエンコードからチャンクの生成、そしてクライアントへの配信まで、これらの手順を実行することで、HLS形式の動画ストリームを実装することができます。

最後に

HLS(HTTP Live Streaming)は、その柔軟性により、動画配信に限らず、多岐にわたるアプリケーションで活用が可能です。
特にゲームでは、ストーリーテリングやカットシーン、またはゲーム内広告などにHLSを活用することで、ユーザー体験の向上につながります。
教育アプリケーションでも、生徒が先生のお手本やデモンストレーションをHLSを通じてリアルタイムに視聴し、学習を促進できます。

HLSを活用した開発にご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。

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